真珠ができるまで
1. 採卵と採苗
当社の栽培センターは40年の歴史を持ち、長年の経験を活かして安定した生産をしています。近年は、稚貝生産も種類によってはうまくいかない場合もありますが、特に真珠の色目を左右する細胞貝の種苗にはこだわりを持って生産しています。
D型幼生の顕微鏡写真
付着前の顕微鏡写真
ちいさい粒が赤ちゃん稚貝
2. 稚貝の養殖
近年は稚貝の養殖も大変、気を遣う仕事となり、早目の分殖など時期を見極めての作業がポイントです。
色んな種類の種苗を受け入れることで、優良な稚貝を残していきます。
受け入れて1ケ月後の稚貝
アンドン篭の稚貝
篭から取り出した稚貝
3. 母貝の養殖
※動画をご覧ください
大きくなるにつれ、篭の入れ替えや貝殻の表面についた付着物の除去作業を行い、母貝が住みやすく成長しやすい環境作りが必要です。
大変、根気のいる作業ではありますが、そうすることによって母貝は大きく健康に育っていきます。
養殖筏から篭を揚げて作業屋台へ移動
グラインダー掃除
重量選別機の作業風景
4. 母貝の仕立て(挿核準備)
この作業が、美しい真珠作りの命です。挿核という大手術を控え、なるべくそのショックを少なくするために、母貝の生理活動を抑えます。
この善し悪しが真珠の品質を大きく左右します。長い経験をもってしても、毎年変化する自然環境と母貝にぴったり合う仕立ては、難しいものです。
この善し悪しが真珠の品質を大きく左右します。長い経験をもってしても、毎年変化する自然環境と母貝にぴったり合う仕立ては、難しいものです。
挿核前の仕立母貝
仕立母貝の出来具合を観察
5. 挿核
※まずは動画をご覧ください
あこや貝の身体の中心部にある生殖巣に鋭利なメスを使って道を作り、挿入器で核を所定の場所に送り込みます。ものすごく繊細な作業です。
その核に真珠層を巻く仕事をする外套膜の切片(ピースともいう、動画では赤い切片)を接着させます。
うまくいけばこのピースが細胞分裂をはじめ、核を丸く取り込んで、本来の役目である貝殻を形成する真珠層を分泌し始めます。
これが丸くきれいにバームクーヘンのように巻いていくと、美しい真珠の誕生となります。
言葉では簡単ですが、真ん丸かつ無傷で、しかも色がきれいでテリがあるという真珠は、全体の1割程度というのが実際のところです。
言葉では簡単ですが、真ん丸かつ無傷で、しかも色がきれいでテリがあるという真珠は、全体の1割程度というのが実際のところです。
挿核作業風景
後ろから
外套膜の切片(ピース)
6. 管理作業
挿核後、養生や沖出(レントゲンによる透視)などのプロセスを経て、カゴに並べられて水深3mくらいの穏やかな海中に吊るされ、早ければ7か月、遅ければ1年半後の浜揚げを待ちます。
この間何もしなければ、付着物に覆われて貝は死んでしまいます。そうならないために、定期的に海水を高圧で吹き付けて、汚れ(付着物)を落とす作業を行います。
暑い時も寒い時もこの作業は続きます。また海況が良い時はカゴから取り出し、機械で汚れを落とす作業も行います。
この間何もしなければ、付着物に覆われて貝は死んでしまいます。そうならないために、定期的に海水を高圧で吹き付けて、汚れ(付着物)を落とす作業を行います。
暑い時も寒い時もこの作業は続きます。また海況が良い時はカゴから取り出し、機械で汚れを落とす作業も行います。
挿核直後に養生篭に並べて海面で養生
吹き流し篭へ入れ替え沖出し
ウォッシャー船の作業風景
7. 浜揚
いよいよ期待と不安が混じり合った浜揚です。毎年12月から1月の寒い時期に行います。
真珠の表面がきめ細かく引き締まるのがこの時期だといわれます。いわゆる『あこや真珠』独特の干渉色が引き立ち、テリが良くなります。
浜揚作業は、まず真珠貝を割り、貝肉と貝柱に分けます。貝柱は歯ごたえもよく珍しい食材で、主に近場の魚市に出荷されます。
浜揚作業は、まず真珠貝を割り、貝肉と貝柱に分けます。貝柱は歯ごたえもよく珍しい食材で、主に近場の魚市に出荷されます。
真珠の入った貝肉は、機械で粉砕され、真珠と肉に分離されます。採れた真珠は、塩や洗剤できれいに磨かれて選別作業を待ちます。
貝割作業
珠磨き器
貝肉と貝柱を分ける
きれいに洗われた貝柱(この時期の貝柱が最高においしいです)
8. 選別と販売
まず、巻かなかった核や真珠とは認められない低級珠を除外します。その後、サイズ分けし、キズ・色目等の品質の程度で細かく分けていきます。きめ細かい作業を、丁寧に行い、入札会に出品する準備をしていきます。入札会は、生産者組合である長崎県真珠組合と対馬真珠組合、さらにその上部組織である全国真珠養殖漁業協同組合連合会を通して取引されます。
稚貝から通算すると3年から4年間かけて作られた真珠が、品質はもちろんのこと、この時に相場により評価され、取引されます。
稚貝から通算すると3年から4年間かけて作られた真珠が、品質はもちろんのこと、この時に相場により評価され、取引されます。
選別作業
選別作業中の真珠
入札会出品前の真珠(~1級品 9ミリ珠~)
真珠養殖の主な流れ
全国真珠品評会成績
花珠真珠
回 | 審査日 | 賞名 | 順位 |
第1回 | 平成16年2月25日 | 農林水産大臣賞 | 1位 |
第2回 | 平成17年2月17日 | 全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長賞 | 5位 |
第3回 | 平成18年2月22日 | 全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長賞 | 5位 |
第4回 | 平成19年2月23日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第5回 | 平成20年2月22日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第6回 | 平成21年3月5日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第7回 | 平成22年2月23日 | 日本真珠小売店協会会長賞 | 7位 |
第8回 | 平成23年3月1日 | 日本真珠振興会会長賞 | 4位 |
第9回 | 平成24年3月1日 | 全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長賞 | 5位 |
第10回 | 平成25年2月25日 | 日本真珠振興会会長賞 | 4位 |
第11回 | 平成26年2月28日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第12回 | 平成27年2月26日 | 日本真珠輸出加工協同組合理事長賞 | 6位 |
第13回 | 平成28年2月25日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第14回 | 平成29年2月23日 | 入選 | 7位 |
第15回 | 平成30年2月22日 | 日本真珠輸出加工協同組合理事長賞 | 6位 |
第16回 | 平成31年2月19日 | 全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長賞 | 5位 |
第17回 | 令和2年2月19日 | 水産庁長官賞 | 2位 |
第18回 | 令和3年3月9日 | 日本真珠輸出加工協同組合理事長賞 | 6位 |
第19回 | 令和4年3月1日 | 全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長賞 | 5位 |
第20回 | 令和5年2月28日 | 農林水産大臣賞 | 1位 |
第21回 | 令和5年12月25日 | 日本真珠振興会会長賞 | 4位 |
浜揚げ珠
回 | 審査日 | 賞名 | 順位 |
第39回 | 平成27年2月26日 | 日本真珠振興会会長賞 | 4位 |